大阪府豊中市では、共働き家庭の「小1の壁」と呼ばれる課題に対する新たな取り組みが注目を集めています。2024年度から、市内全39の小学校で校門を午前7時に開け、体育館などで児童を見守る事業を開始しました。この事業の利用者は、1学期だけで延べ約5900人に達し、ニーズの高さが明らかになりました。

豊中市の「小1の壁」対策とは?
豊中市の取り組みは、共働き家庭が小学校入学後に直面する「小1の壁」に対応するためのものです。保育園時代には午前7時からの延長保育が利用できたのに対し、小学校に入学すると早朝の預け先がなくなり、働く親にとって大きな負担となります。これにより、特に早朝から仕事に出る親が仕事と家庭の両立に困難を感じるケースが増えています。
この状況を受けて、市は今年度から全市立小学校で開門時間を午前7時に早め、子どもたちを見守る体制を整えました。見守りは市教育委員会から委託を受けたスタッフ(各校2人)が担当し、年間約7100万円の予算が投じられています。
利用者の反応と今後の計画
豊中市の長内繁樹市長は、5日の記者会見で「これほどまでにニーズが高いとは思わなかった。さらなる拡充を目指したい」と述べました。市教委によると、特に利用者の多い学校では1日あたり約15人の児童がこの早朝見守りサービスを利用しています。また、6月に実施した保護者向けアンケートでは、「親が学校まで毎日付き添うのが負担だ」という声が多数寄せられたことが明らかになりました。
長内市長は「子どもが学校に慣れてくれば、親が毎回送り届ける必要はないのではないか」とし、今後はさらに柔軟な対応を進める意向を示しています。また、市は夏休みや冬休みなどの長期休暇中に実施する学童保育(放課後こどもクラブ)においても、午前7時からの預かりサービスを提供することを検討しています。
行政による早朝預かり支援の意義
今回の取り組みは、豊中市が共働き家庭の支援を強化し、地域全体の働き方改革に貢献する試みといえます。長内市長は「社会全体での働き方改革が必要であるのは言うまでもないが、早朝預かりのニーズがある以上、行政としても積極的に支援したい」と話しています。
豊中市の事例は、他の自治体でも参考になる可能性があります。地域のニーズに応じた柔軟な施策が、働く家庭の負担を軽減し、子どもたちの安全を守るための一つの解決策として注目されています。
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